歴史物語 vol.1 小野酒造店〜歴史物語〜 はじめに

 弊社は元治元年(1864年)創業、株式会社設立は昭和26年(1951年)1月17日です。創業157年(2021年時点で)になりますと、創業時の伝承はあやふやになってしまい、なかなか後世に伝えて行く事が難しくなります。ましてや世の中の動きがますます激しさを増している21世紀に於きまして、今一度自分たちのidentityを確認する事は、今後我社が存続して行く上で現世代に課せられた最も重要な使命(mission)だと強く思い、まだ朧気ながらも創業時の伝承が残っている現在、きちんと記録を残したいと考え、弊社の歩みを記したいと思います。

 

 歴史は、事実を淡々と客観的に記すことが本来の姿ですが、世界の歴史を見ますと「歴史とは勝者の歴史であり、まず継続している事がその前提である」と言う冷徹な事実があり、そこには勝者や継続して来た者の主観が多かれ少なかれ入っていると思います。これは国家であろうと一企業であろうと家であろうと皆同じです。継続が重要なのです。
我社は地方の小さな蔵元ですので、この酒造業の世界での勝者とはとても言えませんが、なんとか現世代まで6代150年以上直系で継続して来ました。これは、いつの時代もご愛飲下さったお客様、関わり協力して下さった地域を始めすべての関係する方々のお陰であり、好運とご先祖様の努力のお陰である、と痛感します。ですので、我社の歴史を振返る時、関わってくださった方々やご先祖様への多少の主観が入ります事はお許しいただきたいと思います。
弊社は長野県上伊那郡辰野町小野と言う地がありまして成り立っておりますので、小野の歴史も多少なりとも併記させていただきます。

 また、弊社は会社設立までは会社組織ではなく個人経営(屋号 千歳屋)でした。80年ほど前のレッテルには製造元は「小野庄司酒造場」と記されております(小野庄司は4代目、尚昭和22年~30年小野村村長を務める)。株式会社設立は創業85年以上経過した昭和26年1月17日であり、初代社長は4代目小野庄司、それからも社長は淳好(5代目)、能正(6代目)と直系で継続して来ております。それ故、会社はもちろん個人のものでは有りませんが、どうしても家(小野上町千歳屋)の歴史と重なりますこともお許しいただきたいと思います。

 

 尚、詳細な数字および当時の長野県の酒造家の状況などは、長野県酒造組合「信州の酒の歴史」(昭和45年10月20日発行 発行者 長野県酒造組合 編集者 田中武夫 氏 印刷所 信毎書籍印刷株式会社)より引用させていただいております。

 

 

vol.2 長野県・小野宿の歴史  公開までいましばらくお待ちください。